医療保険の給付金の請求

故人が医療保険に加入し、生前に入院や手術の給付金を受け取れなかった場合、相続人が受け取ります。ただし本来は故人が受け取るものですので、相続財産に含まれます。請求は3年間可能ですが、できれば相続財産の調査が必要な3か月以内に確認しましょう。

届出・手続きのポイント

期限や行う時期 落ち着いたらすみやかに(理想は3か月以内)
手続きする場所 契約していた生命保険会社
準備するもの 各社指定の書類など

医療保険にはさまざまな給付金がある

医療保険は、病気やケガの治療にかかる経済的負担を軽減するためのものです。医療保険の種類は運営元によって、大きく次の二つに分けることができます。

  • 政府が運営する公的医療保険(健康保険)
  • 民間の保険会社が販売する医療保険

日本には「国民皆保険制度」があるため、日本国民は必ず何らかの公的医療保険に入っています。

公的医療保険にはいくつか種類が存在しており、職業などの条件によって、加入する保険が変わります。たとえば健康保険や共済保険、国民健康保険などが、公的医療保険に当たります。

それぞれ保障内容は異なりますが、公的医療保険に加入していれば、自己負担限度を超えた医療費が戻ってくる「高額療養費制度」をはじめ、病気やケガをした際の費用負担を軽減するための保障があります。

ただし入院や手術が必要になった場合、公的な医療保険だけではカバーできない費用負担が必要になることもあります。安心して治療に専念できるよう、多くの場合は民間の保険会社が販売している医療保険に加入しています。

どの会社のどのような保険を選ぶかにもよりますが、民間の医療保険に加入していると、主に次のような給付金を受け取ることができます。

  • 入院給付金
  • 手術給付金

その他、保険には「特約」といって、いわゆるオプションサービスもあります。会社によって異なりますが、主な特約は次の通りです。

  • がん入院特約
  • 生活習慣病(成人病)特約
  • 女性疾病特約
  • 三大疾病保障特約(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)
  • 通院特約
  • 長期入院特約

これらの特約は、メインとなる保険に加えて申し込むものです。条件に当てはまる場合は、別途給付金を受け取ることができる仕組みになっています。

まずは、医療保険の内容を確認!

医療保険の給付金は、治療にかかる経済的負担を軽減するために支給されます。そのため本来は、治療にかかる費用を支払うべき故人が、生前に受け取るべきものです。

ところが当然ながら、故人の容態によっては、死亡前に受け取れないケースもあります。故人が死亡しても、条件を満たしていれば給付金を受け取ることができます。しかるべき手続きを行って、相続人が給付金を受け取りましょう。

まずは故人が契約していた医療保険について、内容を確認しましょう。重要な書類をまとめている場所に契約書を保管しているはずです。確認したい主なポイントは次の通りです。

  • どの生命保険会社か?
  • どのような医療保険か?
  • 特約はつけているのか?
  • 給付金の受取人は誰か?

ある程度の内容が分かったら、契約していた生命保険会社に連絡しましょう。死亡の事実と給付金を受け取りたい旨を伝えれば、必要な手続きを案内してくれます。

基本的に相続税がかかります!

医療保険の給付金受け取りに関して気を付けたいのが、「基本的に相続税がかかる」という点です。相続税がかかるか否かの違いは、次の通りです。

1. 相続税がかかる:故人が受取人の場合

給付金の受取人は一般的に、故人本人になっています。故人が受取人である場合、相続人が給付金を受け取ると、相続税がかかります。なぜなら給付金は本来、故人の財産となるものです。相続人が受け取った場合は、「故人から引き継いだ相続財産」とみなされて、相続税の課税対象となるのです。

2. 相続税がかからない:配偶者や子どもなどが受取人の場合

場合によっては、配偶者や子どもを受取人にしているケースもあります。この場合、給付金は受取人の財産になります。相続財産に含める必要はありません。

このように、受取人が誰であるかによって、相続税がかかるか否かが異なります。ただし故人が受取人であるケースが大半です。しかるべき給付金の請求手続きをすると共に、相続税の申告の際は、忘れずに含めるようにしましょう。

3か月以内に手続きを!

医療保険の給付金の請求は、基本的に3年間の期間が設けられています。ただし相続財産として扱う可能性が高い以上、できるだけ早く給付金の額を明らかにする必要があります。目安としては、「死亡後3か月以内」に手続きを行いましょう。

故人が死亡した後、引き継ぐマイナスの財産が多い場合は、相続放棄や限定承認などを行うことで、借金の相続から免れることができます。相続放棄や限定承認は3か月以内と定められているため、それまでに相続財産の大まかな全体像を明らかにする必要があります。

相続に関する手続きはたくさんあり、3年間という期間を見ると、つい後回しにしたくなってしまいます。ただし相続財産に含める可能性があることを考慮して、3か月を目安にして、なるべく早い段階で金額確認だけでも行いましょう。

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