遺言書の検認

公正証書遺言以外の遺言書が見つかった場合は、家庭裁判所に「遺言書検認の申立書」を提出して、検認を受ける必要があります。申し立てから約2週間から1か月後の検認当日は、相続人立ち会いのもとで開封が行われ、検認済証明書が発行されると、遺言の執行が可能となります。

届出・手続きのポイント

期限や行う時期 3か月以内
手続きする場所 家庭裁判所
準備するもの 遺言書検認の申立書、故人のすべての戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本など

遺言書の種類により「検認」が必要

一般的な遺言書には、別記事で説明した通り、次の3種類あります。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

これら3種類のうち、表紙に「遺言公正証書」と書かれた公正証書遺言であれば、封を開けて構いません。遺言書に書かれた内容に基づいて、すぐに相続のための手続きを進めることができます。

ただし自筆証書遺言と秘密証書遺言が見つかった場合、勝手に開封して読んではいけません。すみやかに家庭裁判所に提出して、検認という手続きを受ける必要があります。封をしていない場合は読んでも構いませんが、同じく検認を受ける必要があります。

検認をせずに開封した場合や遺言の執行を行った場合は、5万円以下の過料に処せられます。また、検認を受けずに遺言書を開封した上に内容を改ざんした場合は、相続権がなくなります。公正証書遺言以外の遺言を発見した場合は、すみやかに検認の申立を行いましょう。

検認とは?

検認の手続きは、「検認の日における遺言内容を明確にして、家庭裁判所が記録をしておく」ためのものです。検認当日は、相続人立ち会いのもとで遺言書の開封が行われ、家庭裁判所が内容の確認を行います。

検認は、遺言書の形状や日付、署名などを確認し、記録にまとめておくことで、次のトラブルを防ぐことを目的としています。

  • 偽造・・・偽物の遺言書を作る。
  • 変造・・・本物の遺言書に手を加え、別の内容に変える。

ただし検認はあくまで、「故人によって遺言書が作成されたときの、元の状態を証明する」ための手続きです。遺言書の内容が、法的に有効か無効かを判断するための手続きではありません。裁判所に無効であることを確認してもらうためには別途、遺言無効確認訴訟が必要です。

検認手続きの流れ

検認手続きを行う際は、一般的に次の流れで進みます。

1)遺言書検認の申立を行う
2)家庭裁判所から相続人に、検認期日(検認を行う日)の通知が届く
3)家庭裁判所で相続人立ち会いのもと、遺言書の開封・検認を行う
4)検認済証明書申請・検認済証明付遺言書を受け取る

それぞれについて詳しく見てみましょう。

1. 遺言書検認の申立を行う

検認手続きを行うためにはまず、申立人(遺言書の保管者・遺言書を発見した相続人)が故人の住所地の家庭裁判所に対して、遺言書検認の申立を行います。検認の申立を行うためには、次の書類が必要です。

  • 遺言書検認の申立書
  • 故人のすべて(出生時~死亡時)の戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 故人の子で死亡者がいる場合、その子のすべて(出生時~死亡時)の戸籍謄本 など

遺言書検認の申立書は、家庭裁判所の窓口に置いてあります。裁判所のホームページからもダウンロード可能です。裁判所のホームページに記載例も掲載されています。参考にしながら必要事項を埋めましょう。

裁判所ホームページより引用

なお遺言書検認の申立を行う際には、費用が必要です。

  • 収入印紙800円分
  • 連絡用の切手代

切手代に関しては、申立を行う際に家庭裁判所が教えてくれます。提示された金額を支払いましょう。

2. 家庭裁判所から相続人に、検認期日の通知が届く

遺言書検認の申立を行うと、家庭裁判所から検認期日を知らせる通知が届きます。通知は相続人全員に届きますが、申立人以外の相続人は、必ずしも出席する必要はありません。検認に立ち会わなかった場合は、家庭裁判所から後日、検認終了を知らせる通知が届きます。

3. 家庭裁判所で相続人立ち会いのもと、遺言書の開封・検認を行う

検認当日は、申立人が遺言書や印鑑(認印)を持参し、家庭裁判所で遺言書の開封や検認を行います。

検認が終わると、立ち会った相続人の住所や氏名、遺言に書かれた内容や枚数、使われている筆記用具など、遺言書に関する事実を記録した検認調書が作成されます。

4. 検認済証明書申請・検認済証明書付遺言書を受け取る

検認後は、家庭裁判所の指示に従って、検認済証明書の申請を行います。このとき150円分の収入印紙が必要です。

申請が完了すれば検認済証明書が発行され、遺言書と検認済証明書をホッチキスで留めて割印をした「検認済証明書付遺言書」を受け取ります。

検認済証明書とはその名の通り、検認が完了していることを証明してくれる書類です。検認済証明書が付いている遺言書があることで、相続において銀行預金や不動産の名義変更が可能になります。

このように、検認は相続を進めるにあたってスタートとなる手続きの一つです。申立を行ってから検認までは、約2週間から1か月の期間が必要となります。遺言書を見つけたら、すみやかに申し立てを行いましょう。

関連記事

相続税対策と相続の流れについて

相続において心がけるべき原則と基本的な流れを時系列でご説明します。

相続人の調査

相続を進めるにあたっては、誰が相続人であるのかを調べ、確定する必要があります。 相続人…

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議がまとまったら、その内容をまとめた書面を作りましょう。この書面を…

葬儀社の決定

通夜・葬式までの時間はわずかしかありません。 準備をスムーズに進めるため、

パスポートの返納

故人がパスポートを持っていた場合、パスポートセンターや旅券事務所などの窓口で返納手続きを行います…