入居一時金の返還請求

有料老人ホームに入居一時金を支払っていた場合、所定の条件を満たしていれば一部が返還されます。ただし故人が支払った場合は相続財産となるため、注意が必要です。請求の権利は原則として5年間ですが、早めに金額の把握をしておきましょう。

届出・手続きのポイント

期限や行う時期 落ち着いたらすみやかに
手続きする場所 入居していた有料老人ホーム
準備するもの 上記施設が指定する書類など

入居一時金とは?

有料老人ホームには、主に「利用権方式」や「賃貸方式」などの契約方式があります。大半の有料老人ホームで採用されているのが、利用権方式です。

利用権方式の老人ホームに入所する際は基本的に、入所前にまとまったお金を支払います。これを「入居一時金」といい、施設によっては「入所一時金」「入居保証金」という名称で呼ぶこともあります。

入居一時金を支払うことで得られるのは、「終身で各種サービスを利用する権利」です。

定められた入居一時金を施設に支払うことで、施設の居室や共用スペース、さらには介護サービスといった各種サービスを、一生涯にわたって利用することができるようになります。

入所一時金の金額は、施設によって異なります。中には、数千万円から億単位の入所一時金を支払う施設もあります。

相続財産になるケースに注意

入居する施設によってはかなり高額となる入所一時金ですが、その分、対象となる期間は、「死亡を含む退去時まで」と長期にわたります。そのため死亡による退去時に、「入所してから何年以内」といった所定の条件を満たしていれば、入所料の一部が返還される場合があります。

ただし場合によっては、返還された入居一時金が相続財産となるケースがあります。その基準となるのが、「誰が入居一時金を支払ったか?」ということです。

入居一時金は、終身サービス利用権に対する、いわば「前払い金」や「預け入れ金」などの性質を持つものです。

そのため入居一時金の一部が返還される場合、支払主が誰であるかによって、返還された入居一時金が誰の財産として扱われるのかが、異なってきます。

1. 相続財産になる場合

入居一時金を支払ったのが故人である場合、返還された入居一時金は相続財産となります。なぜなら、本来の受取人は故人であるとみなされるからです。

所定の条件を満たして入居一時金が返還されたとしても、故人が支払っていた場合は、相続財産として扱いましょう。

2. 相続財産にならない場合

場合によっては、家族や親族などが入居一時金を支払っているケースもあります。支払い主が故人以外である場合は、返還された入居一時金の一部は、相続財産にはなりません。入居時に支払った人に対して、一時金が返還されます。

このケースにおいては、入居一時金が返還されても、相続財産として申告する必要はありません。

相続財産の評価までに金額の把握を

ここまで見てきたように、故人が有料老人ホームに入居していた場合は、入居一時金の返還がある可能性があります。所定の条件を満たすのかどうかを調べましょう。

なお、入居一時金の返還を求める請求の権利は、原則として5年となっています。ただし故人が入居一時金を支払っていた場合は、相続財産として扱います。請求の権利自体は5年間ありますが、早めに金額を把握しておきましょう。

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