遺言書の調査

葬儀が終わってひと段落したら、遺言書が残されているかどうかを調べましょう。
封がしてある遺言書の場合、公正証書遺言以外は、別の記事で説明する「検認」という手続きが必要です。勝手に開封すると、5万円以下の過料に処せられるので注意しましょう。

届出・手続きのポイント

期限や行う時期 3か月以内
手続きする場所 自宅や銀行の貸金庫などを調査
準備するもの 特になし

遺言書の主な保管場所

故人が遺言書を残していた場合、原則として遺言の内容に従って相続手続きを行います。通夜や葬式が終わって落ち着いたら、遺言書の有無を確認しましょう。

故人が生前に遺言書の保管場所を話していたり、エンディングノートなどに保管場所を書いていたりしている場合は、その場所を探します。分からない場合は、次の場所を調べてみましょう。

  • 自宅の金庫
  • 銀行の貸金庫
  • 仏壇の引出
  • 神棚
  • タンスの引出
  • 書斎

他にも、弁護士や司法書士などの専門家に預けている場合や、親友に預けている場合もあります。また、後ほど説明する公証役場で保管されている場合もあります。

遺言書がない場合は、相続人同士で話し合いによって相続の内容を決定します。
ただし、後から遺言書が出てきた場合は、話し合いを一からやり直さなくてはなりません。遺言書が見当たらない場合でも簡単にあきらめるのではなく、遺品整理をしながら徹底的に探すようにしましょう。

遺言書の種類

遺言書は、法律の定めに合った方式で作成されています。
さまざまな種類があり、大きく分けると「普通方式遺言」「特別方式遺言」の2つ。それぞれを細かく分けると、計5種類あります。

<普通方式遺言>

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

<特別方式遺言>

  • 危急時遺言
  • 隔絶地遺言

普通方式遺言とはその名の通り、一般的に用いられる遺言です。
一方の特別方式遺言とは、病気や事故など何らかの理由で死期が迫っており、やむを得ない状況でのみ作成が認められている遺言です。

特別方式遺言は、作成後6か月間生存した場合、遺言の効力はなくなります。そして、3種類ある普通方式遺言のうち、いずれかを作成することが必要となります。

ここでは、一般的に用いられる普通方式遺言について、それぞれ特徴を説明します。

1. 自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者が遺言の内容を自分で書き、押印して作成する遺言です。筆記具と紙さえあれば作成できるのが特徴で、専門家に依頼する費用がかからず、手軽な遺言といえます。

ただし、注意したいのが、「必ず本人が書かなくてはならない」という点です。故人が自筆証書遺言を残していたとしても、ワープロで書いたものは法的な効力をもちません。また、家族や友人などに頼んで代筆してもらったものも、同じく無効となります。

2. 公正証書遺言

公正証書遺言とは、法務大臣が任命する公務員である「公証人」に作成してもらう遺言です。遺言書は、原本と正本、謄本の3種類が作成されます。原本は公証役場で保管され、正本と謄本は遺言者に交付されます。

原本と正本、謄本の違いは次の通りです。

  • 原本・・・すべての元となる、最初に作成したもの。
  • 正本・・・原本の作成権限がある者によって作られた、原本の写し。1通しか発行されず、原本と同じ効力をもつ。
  • 謄本・・・原本の写し。所定の手続きをすれば再発行が可能。原本と同じ効力はないが、内容は証明できる。

謄本が見当たらない場合、相続人は謄本を請求することができます。公証役場に行って、所定の手続きを行いましょう。公証役場は全国にあり、日本公証人連合会のホームページで所在地一覧が確認できます。

なお、公正証書遺言を残しているかどうか定かでない場合も、公証役場に行きましょう。昭和64年1月1日以降に作られた公正証書遺言であれば、遺言検索を行うことで存在の有無が確認できます。

ただし、遺言検索を行う場合は、検索を行う方が相続人であることを証明するための戸籍謄本や本人確認書類(印鑑証明書や実印など)などが必要です。詳しくは事前に公証役場に問い合わせておくと安心です。

3. 秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言者が自分で作成した遺言に封をして、公証人が封紙に署名をする遺言です。自筆証書遺言と異なって、自分で遺言を書き記す必要がありません。署名以外はワープロで書くこともできますし、代筆でも構いません。

秘密証書遺言の保管は、遺言者自身が行います。また公証人は遺言内容の確認までは行わないため、不備がある場合は無効になることもあります。

勝手に開封するのはNG

遺言書が見つかった場合、注意すべきことがあります。それは、公正証書遺言以外の場合、封をしている遺言書を勝手に開けてはいけないということです。

公正証書遺言以外の遺言書を開封するには、別の記事で説明する検認という手続きが必要です。検認を行わず開封しても遺言書の効力には影響しませんが、5万円以下の過料が課せられます。

公正証書遺言の場合、表紙に「遺言公正証書」と書かれています。この公正証書遺言でない場合は、遺言書を見つけても封を開けないよう、くれぐれも気をつけましょう。誤って開封してしまった場合は家庭裁判所で事情を説明し、すみやかに検認の手続きを受けてください。

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