高額療養費の支給申請

同じ月内に払った医療費が一定額を超えた場合、超過分の払戻を受けることができます。この制度を「高額療養費制度」といい、故人の死亡後に、相続人が代理で申請を行うことができます。請求は2年間可能ですが、相続財産に含まれるのですみやかに確認しましょう。

届出・手続きのポイント

期限や行う時期 落ち着いたらすみやかに
手続きする場所 市区町村役場、健康保険組合など
準備するもの 高額療養費支給申請書、故人との関係を証明できる戸籍の写し、病院の領収書など

高額療養費制度とは?

病気やケガが長引いた場合、医療費が高額になるケースがあります。公的医療保険には、医療費の支払いによる個人負担が増えすぎないよう、高額医療費制度が設けられています。

高額療養費制度とは、月の初めから終わりまで、1か月間に支払う医療費が高額になった場合に適用される制度です。医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が、自己負担の限度額を超えた場合、超えた分の医療費を払い戻してもらえる仕組みになっています。

払い戻しの対象となるのは、国民健康保険や健康保険組合、75歳以上が入る後期高齢者医療制度など、公的医療保険に加入している人です。日本国民は原則として何らかの公的医療保険に加入することになっています。つまり、基本的にはすべての人が対象であるということです。

故人が生前支払った医療費が限度額を超えた場合、死亡後であっても相続人が代理で請求することができます。支給の条件を満たす場合は、しかるべき請求手続きを行いましょう。

年齢や所得によって限度額は異なる

高額療養費における自己負担の限度額は、年齢や所得によってそれぞれ異なります。また、70歳以上の場合は外来だけの上限額も設けてあるなど、条件が細かく分けられています。加入している公的医療保険によっても条件は異なります。

厚生労働省ホームページより引用

たとえば、70歳以上で一般的な所得の方は、1か月の負担上限額は44,000円となります。上限額を超える分に関しては、原則として払戻の請求を行うことができます。

仮に、1か月以内に医療機関の窓口で、医療費を合計100,000円支払ったとしましょう。上限額は44,000円ですから、56,000円が超過分となります。ですから高額療養費の手続きをすれば、56,000円が払い戻されるということです。

年齢や所得ごとの上限額については、厚生労働省のホームページに詳しい資料が掲載されています。参考にするといいでしょう。

(参考)厚生労働省ホームページ:高額療養費制度を利用される皆さまへ

高額療養費の請求手続き

では、高額療養費の請求手続きについて見てみましょう。

1か月間の医療費が自己限度額を超え、高額療養費の支給条件を満たすとき、市区町村役場や健康保険組合から通知が届きます。書かれている説明を見て、請求手続きに必要な書類を準備しましょう。相続人が代理で高額療養費を請求する場合、基本的に次の準備が必要です。

(必要なもの)
  • 高額療養費支給申請書
  • 故人との関係を証明できる戸籍の写し
  • 該当する月の病院などの領収書
  • 振込先口座が分かるもの(預金通帳など)
  • 届出人の認印 など

全国健康保険協会ホームページより引用

高額療養費の請求手続き

高額療養費について、特に知っておきたい注意点が3つあります。一つずつ見てみましょう。

1. 支給には3~4か月間かかる

高額療養費に関して知っておきたいのが、振り込まれるタイミングです。高額療養費の支給申請をしたとしても、すぐに支給されれうわけではありません。基本的には3~4か月経ってから、指定した口座に振り込まれることを頭に入れておきましょう。

2. 差額ベッド代などは含まれない

高額療養費制度において支給の対象となるのは、「保険適用される診療」に対して支払った自己負担額となります。そのため、次の項目に関しては対象外となります。

  • 保険外の診療
  • 差額ベッド代
  • 食事代

これらにかかった領収書を添付して請求しても、合計金額から除外されますので、注意しましょう。

3. 相続財産に含まれる

高額療養費に関してもう一つ知っておきたいのが、「故人の死亡後に支給された高額医療費は、相続財産に含まれる」という点です。

高額医療費は本来、故人が負担した医療費に対して、負担軽減を目的として支給されるものです。そのため代理で相続人が受け取った場合は、相続財産に含める必要があるのです。

高額療養費の請求自体は、2年間という期間が設けられています。ただし相続財産として扱われる以上、相続税の申告を行う10か月までに、少なくとも金額を把握しておく必要があります。

何より2年間あると思うと、忘れてしまう可能性もあります。できれば相続税の準備を進めると同時に、高額療養費の支給申請を行うことをおすすめします。

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