遺産分割協議書の作成

遺産分割協議がまとまったら、その内容をまとめた書面を作りましょう。この書面を遺産分割協議書と呼び、協議の内容を記録しておくことでトラブル防止につながります。また、預貯金の名義変更や不動産の相続登記の際にも必要な書面です。

届出・手続きのポイント

期限や行う時期 10か月以内
手続きする場所 特になし
準備するもの 相続人の実印、相続人の印鑑証明書など

相続手続きで必要です

遺産分割協議を行って相続人全員の合意ができたら、その内容をまとめた遺産分割協議書を作成しましょう。

遺産分割協議書は、手書きでもパソコンで作成しても構いません。ただし相続人の住所や氏名だけは、できれば手書きのほうが理想です。

遺産分割協議書は、法律で作成が定められているわけではありません。

とはいえ、遺産分割協議書を作って決定事項の記録を残しておくことで、相続人全員がいつでも内容を確認することができます。同時に、後々のトラブルを防ぐことにもつながります。

また、次の相続手続きをするときにも、遺産分割協議書の添付が求められます。

  • 預貯金や株式などの名義変更
  • 不動産の相続登記
  • 相続税の申告 など

遺言書がある場合や法定分割を行う場合であれば、遺産分割協議は行いません。したがって、名義変更や相続登記などの手続きの際に遺産分割協議書は不要です。

一方、遺産分割協議の内容に沿って遺言を執行する場合には、その内容の証明として、遺産分割協議書が必要になります。

遺産分割協議がまとまれば、預貯金の名義変更をはじめとした手続きに進みます。話し合いがまとまったら、すみやかに遺産分割協議書を作っておくことをおすすめします。

遺産分割協議書の作り方

遺産分割協議書には、特に決まった様式はありません。基本的には、次の3つのポイントが守られていれば、遺産分割協議書として成立します。

  • 協議による決定事項(誰が何を取得するのか?)を記載する。
  • 相続人全員が実印を押印する。
  • 印鑑証明書を添付する。


遺産分割協議書

被相続人鈴木太郎(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生、平成〇〇年〇〇月〇〇日死亡、本籍〇〇県〇〇市〇〇町〇〇丁目〇〇番〇〇号、最後の住所〇〇県〇〇市〇〇町〇〇丁目〇〇番〇〇号)の遺産について、共同相続人妻鈴木花子、同長男鈴木一郎、同次男鈴木二郎は、次の通り遺産分割することを協議した。

一.妻鈴木花子は、次の預金、および不動産を取得する。
1.〇〇銀行〇〇支店の普通預金(口座番号〇〇〇〇〇) 金〇〇〇〇万円

2.所在 〇〇県〇〇市〇〇町〇〇丁目
地番 〇〇番
地目 宅地
地積 〇〇.〇〇㎡

二.長男鈴木一郎は、次の不動産を取得する。

所在 〇〇県〇〇市〇〇町〇〇丁目
地番 〇〇番
地目 宅地
地積 〇〇.〇〇㎡

三.次男鈴木二郎は、次の不動産を取得する。

所在 〇〇県〇〇市〇〇町〇〇丁目
地番 〇〇番
地目 宅地
地積 〇〇.〇〇㎡

以上の協議を証するため、この協議書を作成し、各自署名押印のうえ、各自1通を保有する。

平成〇〇年〇〇月〇〇日

〇〇県〇〇市〇〇町〇〇丁目〇〇番〇〇号
鈴木花子 印

〇〇県〇〇市〇〇町〇〇丁目〇〇番〇〇号
鈴木一郎 印

〇〇県〇〇市〇〇町〇〇丁目〇〇番〇〇号
鈴木二郎 印

1. 故人に関する情報

遺産分割協議書を作る際には、誰の相続財産に関する書面であるのかを明確にする必要があります。具体的には、故人に関する次の情報を正確に書いておきましょう。

  • 氏名
  • 本籍地
  • 最後の住所地
  • 生年月日
  • 死亡日

これらの情報は、故人が死亡後に市町村役場に提出した死亡届にすべて書かれています。死亡届のコピーが残っていれば、参考にしながら書き写しましょう。

2. 不動産

不動産の内容について記す場合は、どの不動産を指しているのかが特定できることが大切です。

登記済証(権利証)もしくは登記事項証明書、または市区町村役場で取得した登記簿謄本をもとに、正確な情報を記載しておきましょう。

これらの書面には、不動産の所在地だけではなく、土地の利用区分(地目)や土地の面積(地積)などの詳細な情報も書かれています。書かれている通りに書き写しておきましょう。

3. 預貯金

預貯金について書く際も、どの口座を指しているのかを明確にしておくことが大切です。金融機関名や支店名はもちろんのこと、できれば口座番号も書いておきましょう。

複数枚の場合は割印が必要

遺産分割協議書を作るにあたって、さらに知っておきたい点を2つ補足します。

1. 訂正の仕方

遺産分割協議書を作る際、相続人の署名は本人の手書きが理想ですが、基本的には手書きしてもパソコンで作成しても構いません。もし手書きで作っていて内容を書き損じた場合は、次のどちらかの方法をとります。

  • 新しく作成し直す
  • 印鑑を使って正しい方法で訂正する

印鑑を使って訂正する場合は、さらに2つの方法があります。

  • 訂正箇所に二重線を引いて、訂正印を押し、すぐ上か下に正しい記載をする
  • 訂正箇所に二重線を引いて、すぐ上か下に正しい記載をする。欄外に訂正印を押し、「○字削除○字追加」などと記載する

遺産分割協議書は大切な書面です。間違った場合は正しい方法で訂正するか、可能であれば作り直すことをおすすめします。

2. 製本や割印

遺産分割協議書が複数枚にわたる場合は、製本や割印が必要となります。

製本とはいっても、左端をホッチキスで留めるだけで構いません。必要に応じて、市販の製本テープを貼っておきましょう。さらに用紙から用紙にまたがる形で、相続人全員が実印で割印しておけば、遺産分割協議書の完成です。

遺産分割協議書は、トラブル防止に役立ち、相続の手続きに必要な書類です。相続人の数だけ作り、それぞれが厳重に保管しておきましょう。

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