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届出・手続きのポイント
期限や行う時期 | 10か月以内 |
---|---|
手続きする場所 | 特になし |
準備するもの | 特になし |
納税義務の有無を知る大まかな流れ
納税義務の有無を判断するには、次の3ステップで確認を行います。
ステップ1)課税対象となる財産の評価額を計算する
ステップ2)マイナスできるものを1)から差し引く
ステップ3)基礎控除額と2)の金額を比較する
続いて、それぞれの段階では何をすればよいのか、詳しく見てみましょう。
ステップ1)課税対象となる財産の評価額を算出する
ステップ1で必要となる「課税対象となる財産の評価額」の計算方法は、「課税対象となる相続財産の評価」の記事で説明した通りです。
課税対象となる財産には、預貯金や現金のように金額が明らかなものもあります。一方、土地や家屋などの不動産のように、金銭的価値がいくらになるのかを計算する必要のあるものもあります。
金銭的価値に置き換えるには、一定のルールが決まっています。まだ評価額が出せてない場合は、記事を参考にしながら、財産の評価額を計算しましょう。
ステップ2)マイナスできるものをステップ1から差し引く
次に行う作業が、ステップ1で算出した合計額から、マイナスできるものを引くというものです。次に挙げた項目の費用は、課税対象となる財産から差し引くことができます。
- 小規模宅地特例
- 相続人が負担した債務や葬式費用
です。それぞれについてポイントを見てみましょう。
1. 小規模宅地特例
土地を相続したことで多額の相続税がかかれば、住み続けたい相続人が手放さざるをえない状況に陥る可能性があります。そのような状況を防ぐ手立ての一つとして、小規模宅地特例があります。
小規模宅地特例とは、一定の面積以下の土地を相続する場合、一定の面積までは評価額が80%減額されるという決まりです。対象となる面積は、用途によって次の通り異なります。
- 事業用宅地・・・400平方メートル
- 居住用宅地・・・330平方メートル
なお、小規模特例の対象となるのは、故人と生計を共にしていた親族が、事業や居住地として使っていた場合のみです。そのため次のような土地の場合は、たとえ面積の条件を満たしていたとしても、小規模特例が適用されません。
- 生計を共にしない親族が使用している
- 保養を目的として別荘として使用している
詳しい条件は、国税庁のホームページを確認しましょう。「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」として、詳細の説明が掲載されています。
(参考)国税局ホームページ:相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
2. 相続人が負担した債務や葬式費用
本来は故人が支払うべきであった債務を相続人が支払った場合、その金額を差し引くことができます。また、葬式費用も同様に、葬式を挙げる際にかかった費用を差し引くことができます。
ステップ1で算出した金額から、ステップ2で算出した金額を引くと、実際に課税されることになる正味の遺産額が出てきます。この金額のことを「課税価格の合計額」と呼びます。
ステップ3)基礎控除額とステップ2の金額を比較する
ステップ2まで進んで「課税価格の合計額」が算出できたら、確認作業の最終段階です。課税価格の合計額と基礎控除額、どちらの金額のほうが多いか比較を行いましょう。
なお基礎控除額とは、非課税の範囲を表す金額のことです。次の計算式を用いることで、簡単に基礎控除額を計算することができます。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の人数
たとえば法定相続人が二人いる場合は、基礎控除額は4,200万円となります。法定相続人が三人いる場合、基礎控除額はアップして、4,800万円になるということです。
基礎控除額とはいわば、その範囲内であれば課税しないということを示す枠のことです。そのため、ステップ2で出てきた「課税価格の合計額」と基礎控除の金額を比較すれば、納税義務の有無が判断できます。
- 「課税価格の合計額>基礎控除額」の場合・・・相続税がかかる
- 「課税価格の合計額<基礎控除額」の場合・・・相続税がかからない
- 「課税価格の合計額=基礎控除額」の場合・・・相続税がかからない
それぞれについて、補足ポイントを解説します。
1. 「課税価格の合計額>基礎控除額」の場合
「課税価格の合計額>基礎控除額」の場合は納税が必要となります。課税価格の合計額から基礎控除額を引いた金額のことを「課税遺産総額」といい、課税遺産総額に対して相続税がかかります。
納税義務が発生する場合は、次の記事で説明する「相続税の計算」を行って、納税準備を進めましょう。
2. 「課税価格の合計額<基礎控除額」「課税価格の合計額=基礎控除額」の場合
「課税価格の合計額<基礎控除額」もしくは「課税価格の合計額=基礎控除額」の場合は、納税義務は発生しません。相続税を納める必要がないということは、相続税の申告手続きは必要ないということです。
ただし注意したいのが、「小規模宅地特例」の適用を受けるケースです。この規定の適用を受ける場合は、たとえ相続税がかからないとしても、相続税の申告手続きが必要となります。
相続税の申告手続きをする際は、申告書を提出すると共に、次の書類を添付する必要があります。
- 減額金額の計算に関する明細書
- 遺産分割協議書の写し など
詳しくは上に記した国税庁のホームページを確認しましょう。または全国にある国税局電話相談センターに電話すれば、電話相談に応じてくれます。