出資金の払戻請求(信用金庫や農協など)

信用金庫や農業協同組合、森林組合などの協同組織は、会員が出し合った出資金を元手に運営されています。故人がこれらの会員である場合は、出資している場合がありますので、払戻請求もしくは名義変更を行いましょう。払戻された出資金は、相続財産として扱います。

届出・手続きのポイント

期限や行う時期 落ち着いたらすみやかに
手続きする場所 契約していた組織
準備するもの 各組織指定の書類など

まずは出資証券の確認を!

故人が事業を行っていた場合や、農業や林業、漁業などを営んでいた場合、次に挙げる組織の会員になっている可能性があります。

  • 信用金庫(信金)
  • 農業協同組合(農協/JA)
  • 森林組合
  • 漁業協同組合(漁協/JF) など

これらの組織は「会員の相互扶助」を基本理念としており、会員から集めた出資金を元にして運営を行っています。出資している会員が亡くなると会員としての権利がなくなり、これを「法定脱退」と呼びます。

故人がこれらの組織の会員で、なおかつ出資していた場合、基本的には出資を証明する「出資証券」「出資証書」「出資証明書」など(以下、出資証券)が発行されています。故人の自宅に出資証券が保管されていないか、金庫や重要書類を入れている引き出しなどの中を一度探してみましょう。

養父市森林組合ホームページより引用

ただし上場会社の株券電子化と同様、出資証券も電子化が進んでいます。出資証券の発行が廃止されると、電子化による管理に一元化され、紙の出資証券そのものは効力を失います。

紙の出資証券が廃止された場合、基本的には出資内容を知らせる「出資配当金支払通知書」が発行されています。まずは思い当たる場所を探してみましょう。

払戻もしくは名義変更のどちらかを決める

故人の自宅から出資証券もしくは出資配当金支払通知書が見つかったら、次のうちどちらかを選択します。

  • 脱退手続きをして、出資金の払戻を求める
  • 出資証券の名義を相続人の名義に変更し、組合員を継続する

これらの組織の相続手続きに関する書類には、基本的に相続人全員が署名押印する必要があります。相続人全員で話し合って、出資金の払戻請求をするのか、それとも会員の名義変更を行って継続するのかを決めましょう。

組織を脱退して払戻請求をするなら、誰の口座に振り込むのかを決めなくてはいけません。名義変更を行うと決めたら、誰の名義に変更するのかも含めて話し合いましょう。

払戻で知っておきたいポイント

払戻請求か名義変更のどちらかを決めたら、まずは出資していた組織に連絡しましょう。死亡の事実を伝え、その後の手続きについて確認します。必要書類は組織によって異なります。案内に沿って必要書類を揃え、手続きを進めましょう。

なお、払戻請求をするにあたって知っておきたいポイントを、2つお伝えします。

1. 基本的には額面通りの払戻がある

まず一つ目のポイントは、「払戻の金額」についてです。

払戻請求をする場合は、出資証券もしくは出資配当金支払通知書に書かれている額面が、その時点での価値とみなされます。基本的には、書かれている額面通りの出資金の払戻があると理解しておけばいいでしょう。

ただし、額面通りの払戻がない場合があります。たとえば、出資した時点と比べて、組織の財務内容が悪化しているケースです。その他、近隣の農協同士が合併して資産内容を検討した結果、額面割れしているというケースもあります。

このような場合は、出資証券や出資配当金支払通知書に書かれている額面よりも、減額されて支払われる可能性もあります。

2. 払戻にはある程度の期間が必要になる

二つ目のポイントとして知っておきたいのが、「払戻が行われる時期」についてです。

払戻請求を行っても、実はすぐに出資金が払い戻されるわけではありません。組織によって時期は異なりますが、基本的には年度末を超えてからの払戻になることを頭に入れておきましょう。

払戻された出資金は相続財産となる

出資金は故人の財産にあたるため、払戻を受けた場合は相続財産として扱われます。払戻請求によって相続人が出資金を受け取った場合は、相続税の申告の際に忘れず含めるようにしましょう。

出資金がどの程度の額になるかにもよりますが、相続財産になる以上、早めに額を把握しておく必要があります。目安としては、相続財産の調査を行うべき「死亡後3か月以内」に、まずは額面だけでも把握しておくことをおすすめします。

どんなに遅くなったとしても、故人が死亡して10か月後には、相続税の申告期限を迎えます。10か月以内には必ず出資金の確認を行い、忘れず申告を行うようにしましょう。

関連記事

【保存版】身内が亡くなった後の手続きリスト

相続の手続きを中心に、ご家族や親せきの人が亡くなった後にしなければならない手続きを時系列にまとめ…

相続税対策と相続の流れについて

相続において心がけるべき原則と基本的な流れを時系列でご説明します。

相続人の調査

相続を進めるにあたっては、誰が相続人であるのかを調べ、確定する必要があります。 相続人…

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議がまとまったら、その内容をまとめた書面を作りましょう。この書面を…

葬儀社の決定

通夜・葬式までの時間はわずかしかありません。 準備をスムーズに進めるため、